ロシアのウクライナ侵攻(5)

 太平洋戦争終結後、日本軍のフィリピンでの捕虜虐待「バターン死の行進」の総責任者として、自身は英国通の人道主義者として広く知られた本間雅晴陸軍中将は、部下の行動の責任を問われ、すでに日本に戻っていたのに、厚木からマニラに送られ、シナリオの決まった裁判で死刑宣告、ただし「名誉」を重んじられ、略式軍装で「銃殺刑」に処せられました。

 最高指揮官とは、そういう「責任」を問われる存在です。

 今回確認された証拠だけでも、国連総会はウラジーミル・プーチン以下ウクライナ戦争指導部を「人道に対する罪」で告訴可能です。別にロシア政府が崩壊する前でも構いません。

 これはリビアの独裁者カダフィ大佐への「人道に対する罪」での訴追先行例を見ても明白です。

 

プーチンの「インパール作戦
自ら招いた「ロシアの破滅」

 軽率な立案の作戦で兵站が断絶し、軍紀崩壊、全滅に至った例として、旧日本軍の「インパール作戦」が国際的に広く知られます。

 これは「明治維新の元勲」の長男、お坊ちゃんでエリート街道をチヤホヤされながら進み、完全に無能だった「寺内寿一元帥」の思い込みを、牟田口廉也中将以下の取り巻きがヨイショしたもので、16万人以上の日本兵ビルマの土になり、占領地域にも多大な被害を出しました。

 この「史上最も低劣な作戦」インパール並みに「キーウ電撃作戦」は愚劣極まりなく、2次的に発生した言い逃れ不可能な「戦争犯罪」で、ロシアは政体そのものが転覆しつつあります。

 ちなみに前回稿(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69661)に記した「北海道はロシア領」も、メドベージェフの遠吠え同様ロシア大衆向けのポピュリズムで、こんなものに日本は乗ってはなりません。

 極東ロシア軍勢はそもそも弱小で、すでに1か月強の戦闘でロシア軍は多大な戦力を失っています。

「ブチャの悲劇は日本でも起こりうる」という文字も目にしましたが、まず無理でしょう。

 もし上陸しても、その後の補給が続かない。「だから起きうる」というかもしれませんが仮にミニ軍勢が日本列島に攻め込んでも、ウクライナ戦線を維持しつつ極東にも軍勢を多面展開する体力は、すでにロシアに残っていません。

 結果、投入可能なロシアの軍勢は自衛隊の火力と比較してもゼロに近く、万が一上陸侵攻しても占領を維持する兵站が続かない。というか、実質的にない。

 現地調達をアテにすればまさに「インパール作戦」です。

 もしロシア兵が入って来ても、現実には瞬時で鎮圧、戦時中本軍の「ガダルカナル島」や「アッツ島」と同じ運命しか待っていません・・・

「玉砕」

 まあ、21世紀の今日では絶滅以前に捕虜として収容されることになると思いますが、これは単に全面敗北のみならず、戦後に莫大なツケ(4島返還は当然、南樺太も日本に返して貰いましょうか)をロシアは背負い込むだけです。

 今回のウクライナ電撃戦の失敗で、ロシアは国家そのものを失いかねない状況です。

 兵站のいい加減なウクライナインパール」電撃作戦を強行したプーチンのロシアは、自ら破滅を招きました。

 明らかな敗色の中で発せられた「北海道はロシア領」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69661)もまた、抗争で負けが見えてきたやくざ者が景気づけに窓ガラスを割って見せるのと大差ありません。

 こんなものに、いい大人がいちいち動揺する必要はなく、大局を見つつ、冷静に「ならずもの」を追い込んで行く必要があります。

 

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69673?page=7

 

 

 

なお次の論考なども、ぜひ参照されるとよい。

 

 

ブチャ虐殺は紛れもないジェノサイド、拷問遺体が告発する真実

ウクライナ占領地で暗躍する「スペツナズ」の蛮行

2022.4.7(木)伊東 乾


ロシア軍が撤退したブチャの町でロシア軍による拷問・虐殺の事実が次々と見つかっている。写真は3人の男性の遺体の前に立ちすくむ女性(45日ブチャで、写真:AP/アフロ)    

 

(略)

 

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69624?page=1

(続く)