ロシアのウクライナ侵攻(13)

この論考にもあるように、ロシア経済はある意味青息吐息の状態に陥りつつあるようだ。

それは次の文章を見れば、よくわかる。

 

一例が鉱工業生産指数で、3月は3%増と2月(6.3%増)から勢いが鈍った。鈍化の主因は製造業だ。2月の6.9%増から一転、3月は0.3%減だった。自動車関連は45.5%低下し、電気機器やたばこも10%以上下がった。

 

4月のデータがあればよいのだが、4月はもっと落ち込んだ数字となっているはずだ、二けたに近い下落となっている可能性もあろう。

 

片や戦況も芳しくない。そのため、前線の兵士を鼓舞する必要が出てきているようだ。そんなことをしても戦況はよくなるはずはないのだが、いつもはやりもしない軍高官の前線視察が行われているようだ。しかも負傷までしてしまっているという。鼓舞どころではない。

 

プーチンの怒りと焦りが手に取るようにわかる事例である。

 

 

ロシア軍“制服組トップ”負傷か…最前線を異例の訪問“兵士鼓舞”するはずが…

テレ朝news 2022/05/03 10:13

 

 

VTR

 

 

 ロシア軍の制服組トップウクライナ最前線を異例の訪問。さらには、負傷したとの情報も出ています。一体、何が起きているのでしょうか。

 

プーチン氏…怒りと焦り?

 

 プーチン大統領と握手を交わすこの人物は、ロシア軍の制服組トップ、ゲラシモフ参謀総長

 

 ロシア、ゲラシモフ参謀総長:「ロシアは、抑止力として核兵器の使用が可能です。NATO北大西洋条約機構)は、軍事兵器をロシア国境に近付けています。特に、新しく加盟した国がそうしているのです」

 

 大統領、国防相と共にウクライナ侵攻を計画したロシア軍の最高幹部です。このゲラシモフ氏がウクライナ東部の最前線を視察した際に、負傷したという一報が飛び込んできました。

 

 イギリスのデイリー・メール1日、非公式な情報筋の話として、ロシア軍が東部の拠点としているイジュームで、ゲラシモフ氏の右脚に砲弾の破片が刺さり負傷したと報じました。

 

 デイリー・メール(1日):「手術で破片は取り除かれ、命に別状はない。しかし、ゲラシモフ参謀総長のけがは深刻で、空路、ロシアに帰国した」

 

 そもそも、軍の最高幹部が最前線に入るのは“極めて異例”です。

 

 

 ロシアNIS経済研究所・服部倫卓氏:「参謀総長、自ら現地に赴くこと自体、プーチン大統領の怒りと焦り。打てる手は全部打って、不退転の覚悟で戦っている」

 

■“兵士鼓舞”負傷で逆効果か…

 

 ゲラシモフ氏が一躍名を馳せたのは、2014年のクリミア併合でした。

 

 ロシアNIS経済研究所・服部倫卓氏:「この人は、戦略家・理論家として知られている。特に『ゲラシモフ・ドクトリン』を2013年に提唱して、2014ウクライナ(クリミア併合)への対応に応用した」

 

 現代ロシア軍の戦略家にして理論家。とりわけ「ゲラシモフ・ドクトリン」と呼ばれる基本原則は軍事力だけに頼らず、情報戦など非軍事的な戦術を組み合わせてこそ、成功を収めることができるというものです。

 

 ロシアNIS経済研究所・服部倫卓氏:「クリミアを併合した時も、単純に軍の力だけでなく、ウクライナについてのネガティブな情報を現地にバラまく。現地の人たちが不安感を抱いたところで、ロシアが出ていく」

 

 名うての参謀総長の最前線訪問でロシア軍の士気を高揚させるはずが、負傷したという情報が正しければ、その狙いは逆効果になるかもしれません。

 

 デイリー・メールは「プーチン軍にとって、またしても屈辱的な敗北となった」と論評しています。

 

 今回の報道について、ウクライナ当局は「ゲラシモフ参謀総長が(ウクライナ東部の)最前線を視察したのは把握しているが、我々の攻撃で負傷したかどうかは承知していない」としています。

 

(「グッド!モーニング」202253日放送分より)

 

https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000253433.html

 

 

 

こんな状況であるから、ロシアとしては同盟国のペラルーシに参戦してもらいたのはやまやまではないのかな。しかしながらペラルーシのルカシェンコ大統領は、ロシアを誉め殺しているようだ、先にも記述しておいたが、「露軍は独力で目標を達成できる。助太刀は不要だ」と何度も発言を繰り返して、参戦を拒否しているという。

 

今となっては、参戦しても西側各国の一致したウクライナ支援により、相当な打撃を受ける可能性が高くなっているので、ロシアを誉め殺しで参戦を拒否しているといったところが実情のようだ。ロシアも落ちたものだ。

 

 

ベラルーシ大統領「ロシアの侵攻失敗」の認識示唆か SNSで憶測

2022/5/11 10:57

 









 

ベラルーシのルカシェンコ大統領(AP=共同)

ロシアの同盟国、ベラルーシルカシェンコ大統領が、ロシアのウクライナ侵攻は失敗に終わる-との認識を示したとも取れる発言をし、ロシア語圏のメディアやSNS(交流サイト)上で話題となっている。

ベラルーシ国営ベルタ通信によると、ルカシェンコ氏は9日、同国で開かれた第二次大戦の対ドイツ戦勝記念式典の後、「自国内で領土や家族、子供のために戦う国民を打ち負かすのは不可能だ」と述べた。発言は、報道陣が「北大西洋条約機構NATO)側がベラルーシへの軍事圧力を強めている」とし、それに対するルカシェンコ氏の見解を尋ねた際のものだが、露SNS上などでは「暗にロシアを批判したのではないか」との憶測が広がった。

憶測の背景には、ルカシェンコ氏がロシアに忠誠を示しつつ、侵攻には否定的で、米欧側との決定的対立や国内の不安定化を招く参戦を巧妙に避けてきた-との見方が強いことがある。ベラルーシウクライナは歴史的に、同じ東スラブ系のロシアを長兄とする「兄弟国」ともされてきた。

米欧やウクライナの防衛当局は侵攻開始当初から、ロシアが「偽旗作戦」を用い、ベラルーシを参戦させる恐れがあると警戒。3月にはウクライナ国境警備隊が「露軍機が国境地帯のベラルーシ側を爆撃した」と発表し、ベラルーシの参戦が近いとの観測を示した。

しかし、ベラルーシは爆撃の情報を否定。ウクライナ情報当局は、ベラルーシ軍が「現場部隊が前進命令に従わない」との口実で、ロシアからの参戦要求を拒否しているとも発表した。

ルカシェンコ氏もこれまで、国内会議などで「露軍は独力で目標を達成できる。助太刀は不要だ」と何度も発言。ロシアを持ち上げつつ、ベラルーシは参戦しない方針を示してきた。

 

https://www.sankei.com/article/20220511-XZ3HGELNNNL43IZDFSAP7U6QHQ/

(続く)