纏向遺跡と邪馬台国(日本古代史の謎)(55)

更には 38)には、天の若日子には「天の麻迦古弓」と「波波矢」を持たせて、交渉に当たらせたが、大国主命に丸め込まれてしまうことになっている。このことは当然、高天原からの「武力侵攻」を意味しているわけではあるが、 

 

41)でも十拏の剣を、逆さではあるが波に突きさして、その上に胡坐をかいて談判を始めていることを見ても、武力侵攻であったことが想像される。 

 

また40)では、建御雷之男神タケミカヅチ)を派遣しているが、この神の父親は伊都之尾羽張神(いつのおはばり)と言う高天原の最強の刀剣神であることからも、そのように類推できるものである(その書P238)。 

 

結局、きれい事の交渉で「国譲り」がそれなりに円滑に行われた、と言う訳ではないことを意味しているものと思われる。だがその戦(いくさ)の様子の神話は(何処かに在ってもよさそうではあるが)見当たらないようだ。 

 

45)、46)、47)当たりがその戦の様子なのかもしれないが、ここで気になるのが、 

 

47)のタケミカヅチタケミナカタを州羽(諏訪)の海に追い詰めて殺そうとす る。・・・箇所であるが、これも戦の様相を示すものなのであろう。 

 

しかし小生が驚くのは、出雲の国の境界が州羽(諏訪)の海まで広がっていることである。いかに出雲の勢力が強大であったかを示すものである。 

 

当然、大物主神大国主神の別名)が大和の三輪山に祀られていることからも(9/15,NO.51参照)、出雲の勢力は高天原と拮抗するものであった、としても間違いがなかろう。 

 

高志八俣遠呂智コシノヤマタノオロチの話も、高志とは三越(越前・中・後の国)と能登国加賀国を言うのであり、出雲は越の国とも関係があったのであり、相当手広く関係を持っていた国であったようだ。 

 

だから高天原としても、出雲に対しては、それ相応の関心を持っていたに違いないのである。 

 

現在の長野県や山梨県から以西の日本(本州か)をその領土としていたようで高天原としても見捨ててはおけない勢力であったようだ。、 

 

だから高天原としては、建御雷之男神タケミカヅチ)に天鳥船神を副えて、葦原の中つ国征伐のために遣わしたわけだ。 

 

出雲の国では、荒神谷遺跡島根県出雲市斐川町)から銅剣358本幅広銅矛16本・銅鐸6個が出土しているが、これなどは降伏の印ではなかったのかな。 

 

その書のP255には建御雷之男神タケミカヅチ)が大己貴神(オホナムヂ)に迫ると、 

 

するとオホナムヂは、頼みにする子も既に避去ったので私もまた避去ることにすると言うと、国を平らげた時に衝いていた広矛を二神に渡し、「わたしはこの矛で功をなした。天孫がもしこの矛を以って国を治めたならば、かならず平安になるだろう。今まさにわたしは、百足らず八十隈に隠去れよう」と言い、遂に隠れた。そこで、二神は諸々の従わない鬼神等を討伐し、天に戻って復命した。 

 

戦をして反対勢力を征伐した国譲り」のことが説明されているので、神谷遺跡はその関係する遺跡であろう。 

 

即ち、「矛を収める」と言うことで、降伏の印に、象徴としての武器大量の青銅器を埋めさせられたのではないのかな。 

 

 

  

 

日本一の青銅器大量出土遺跡二カ所
 

全国最多39個の銅鐸が出土した加茂岩倉遺跡、そして全国最多358本の銅剣16本の銅矛6個の銅鐸が出土した荒神谷遺跡。大量の青銅器を埋納した二つの遺跡は、山々を挟んで直線距離約3.3kmという近い距離に位置しています。
どちらの遺跡も青銅器の出土状況が復元整備され、発見時の興奮と感動が蘇ります。荒神谷遺跡は周辺一帯が史跡公園となっており、6月中旬から7月中旬には色鮮やかな2000年ハスも楽しめます。加茂岩倉遺跡は現在、史跡整備の途中ですが、弥生時代の原風景を彷彿とさせる景観が魅力です。
また、加茂岩倉遺跡には加茂岩倉遺跡ガイダンス荒神谷遺跡には荒神谷博物館という博物館があります。施設内に展示された出土青銅器のレプリカやパネルなどが、遺跡への理解を一層深めてくれるでしょう。遺跡のガイドもこの施設で受け付けています。そのほか、加茂岩倉遺跡の近くには、邪馬台国の女王卑弥呼が魏より授かった鏡のうちの一枚とされる「景初三年」銘三角縁神獣鏡が出土した神原神社古墳があります。この鏡には一体どのような情景が映し出されていたのでしょうか。
大量の青銅器埋納の謎、卑弥呼の謎を解くカギは、やはり現地にあります。豊かな自然に包まれた遺跡に立ち、しばし弥生びとの祈りの囁きに耳を傾けてみませんか。 

 

荒神谷遺跡銅矛・銅鐸出土状況

荒神谷遺跡整備状況   

 

https://www.pref.shimane.lg.jp/life/bunka/bunkazai/shiseki/shisekidesu/shiseki07.html 

(続く)