反社会的団体の(旧)統一教会(67)

自力でのし上がった菅元首相は“半グレ” 

 

佐高安倍晋三という人が統一教会の理念にどっぷり浸かっていたとは思いませんし、統一教会があれほど反日的だという認識彼にはなかったでしょう 

 

 安倍さんという人は確固たる信念を持ち合わせていない人だったと思います。だからこそ便利な存在でもあった。ボンボンの典型で、自分に拍手をくれる人の方を向いて政治をしていた。 

 

 これに対して、祖父の岸信介は秀才で悪知恵も働く。統一教会についても利用する感覚だったと思います。しかし、安倍晋三統一教会を操る力はありませんでした。操るつもりが操られ、自分が撃たれた経緯も理解できなかったと想像します。 

 

安倍元首相の国会席に置かれた花束(写真:つのだよしお/アフロ)ギャラリーページへ       

 

──安倍晋三さんの政策を実質的に方向づけていたのは誰だったと思いますか? 

 

佐高:総理大臣秘書官を務めた今井尚哉菅義偉でしょうね。菅義偉という人もイデオロギーというものを持ち合わせていなくて、彼はただ政権維持の職人のような人です。そして、反対してくる者に対して真っ向から衝突するのではなく、陰湿に封殺していくというやり方を好む。 

 

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──本書の中で佐高さんは「安倍晋三から菅への政権交代は、ヤクザから半グレへのバトンタッチだ」と書かれています。 

 

佐高:ヤクザを褒めるのはいけないけれど、「堅気には迷惑はかけない」といった掟がヤクザにはある。しかし、半グレは掟なんぞ糞食らえという感覚です。世襲議員はヤクザのようにまだ掟がありますが、菅義偉は自分の力でのし上がってきた半グレで、こちらの方が狂暴です。 

 

──菅さんは政権を取った時に、わずか1年ほどで首相の座から下りました。 

 

岸田首相の登場は「ヤクザの逆襲」 

 

佐高:影で操る人間が表に出ても生きられないということです。それまで彼は裏のジメっとしたところにいたけれど、表に出たらいちいち自分の考えを説明していかなければならない。 

 

 ところが、彼には政権を維持すること以外に主張がない。自分たちに歯向かってくる者を抑えるということ以外にない。 

 

 その結果、ケータイ電話の料金を下げるくらいの提案しかできなくて、その裏に大きな思想や構想はなかった。事務的なことをする県会議員レベルの人だと思います。 

 

──安倍さんから菅さんは「ヤクザから半グレ」だとして、菅さんから岸田さんはどのような例えになるのでしょうか? 

 

佐高:「ヤクザの逆襲」です。岸田政権は二世・三世連合のようなものです。岸田のバックは麻生太郎甘利明ですけれど、彼らはみんな世襲です。世襲議員にはたくさんのものがぶら下がっている。 

 

──統一教会の被害者救済法案が可決されましたが、自公が法案づくりに関しては慎重であったことなどが報道されました。公明党が与党にいるかぎり宗教法人法の改正などあり得ないとも言われています。統一教会は間違いなく問題だけれど、創価学会はどうなのだ、と疑問に感じる人も少なくありません。本書にも自民党がいかに創価学会に頼ってきたかに関するエピソードが書かれています。あらためて、自民党創価学会の関係について、どのように問題を感じていますか? 

 

佐高公明党が政権に参加してから、日本の政治はとても歪んだ形になったと思います。公明党が平和の党で自民党にブレーキをかけているなんて言われたりもしますが、実際は自分たちの要求を通すために公明党が限りなく妥協してきた歴史です。 


「平和」に対して妥協し続けてきた公明党 

 

佐高:2003年の自衛隊イラク派兵の時に、当時の公明党の代表だった神崎武法が数時間だけイラクの都市サマワに滞在して「自衛隊の派遣は大丈夫」と判断する猿芝居を打ち、派兵に賛成した。 

 

 しかし、加藤紘一古賀誠亀井静香といった自民党の旧実力者たちは実質的に反対した。公明党の平和の意識は彼らにさえ劣るのです。 

 

 あの時は所得税の「定率減税」を認めてもらうために、自民党イラク派兵のお墨付きを与えましたが、今回も敵基地攻撃能力を認める代わりに寄付規制を緩めることを取引しているのでしょう。平和に対しては妥協しきっている。平和の党などと名乗るのはおかしい。 

 

 しかし、同時に少し同情もしてしまうのは、公明党山口那津男代表創価学会でいえば部長や課長クラスの立場で、彼には当事者能力はないと思います。 

 

──以前、宗教学者島田裕巳さんにインタビューさせていただいた時に、言論出版妨害事件以降、公明党創価学会政教分離してスタッフもきっちり分けたので、もはや公明党はそれほど創価学会からコントロールされていないという話がありました。 

 

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宗教学者島田裕巳氏に聞く、霊感商法は本当に法律で取り締まれるのか?(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72773 

 

佐高:86年まで公明党委員長を務めた竹入義勝は、自身が池田大作の指名公明党の代表になったとはっきり言っています。別の組織ではなく一体です。 

 

 自公政権がこれだけ続いていますが、公明党創価学会の協力なしで当選できる自民党の議員がどれだけいるか。 

 

 自公連立政権発足の後に解消されていった「憲法20条を考える会」という、政教分離を考える会が自民党の中にできたことがありました。そこには安倍晋三も参加していた。 

 

 そこである発言をしたら、地元の創価学会員から電話がかかってきて「おじいちゃんの頃からのつながりがあるんだよ。あなたはそんな発言をしてもいいのか」と脅かされたと安倍晋三が告白しています。その時に彼は「統一教会より創価学会の方が怖い」と述懐した。 

 

創価学会公明党にべったりなベストセラー作家 

 

──創価学会といえば、著書の中で、作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんについての言及も数多く見られます。 

 

佐高:佐藤氏は2015年頃の創価学会と関係のある方との対談の中で、「そろそろ創価学会員の首相が現れてもいい頃だ」と発言し、「今後50年の間に公明党首班の政権が誕生してもいい」とも語っている。創価学会公明党にべったりなのです。 

 

──あるところから突然そうなった印象がありませんか? 

 

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佐高:芸能人などにも創価学会の信者は見られますね。そうすることで学会員からチケットを買ってもらえるようになる。自分が創価学会に入っていると明言している有名人もいれば、非公開だけれど、そういった方法で興行に結びつけているケースもある。 

 

 ベストセラー作家にしても同じで、確実な購買層を確保したい。佐藤氏の「池田大作研究 世界宗教への道を追う」(朝日新聞出版)という本は初刷り10万部だったそうです。 

 

 私も昔「自民党創価学会」(集英社新書)という本を出しましたが、売れ行きは桁が2つぐらい落ちて、仏敵の本という扱いを受けています。 


https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73546?page=7 

(続く)