カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(28)

  豊田会長はオンライン上で記者団の取材に応じ、自動車業界では一貫して「電動化」という用語を用いてきたが、メディア報道では「EV化」になると指摘。用語の区別へ理解を求めた。 

 

  販売される車をすべて純粋なEVに置き換えると夏のピーク時の電力需要が急増し、原子力発電所約10基分が新たに必要になるとの計算を示して、国のエネルギー政策で対応しなければ自動車メーカーの「ビジネスモデルが崩壊してしまう恐れがある」と述べた。 

 

  国内自動車業界が用いる「電動車」という言葉には、EVや燃料電池車といったゼロエミッション車だけでなく、エンジンも搭載するハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車なども含まれている。 

 

自工会の豊田会長(2019年11月2日) 

Photographer: Akio Kon/Bloomberg          

 

  電力の89%を原子力発電や再生可能エネルギーで賄っているフランスなどと比べて日本は火力発電への依存度が大きく、政府の環境目標を達成するには国のエネルギー政策の大幅な転換が必要との見方も示した。 

 

 

  具体例としてトヨタの小型車「ヤリス」を挙げ、電力事情を考えると日本国内よりフランスで生産した方が環境によいということになると述べた。 

 

  菅首相は10月26日の所信表明演説で「経済と環境の好循環」を成長戦略の柱に掲げ、温暖化対策で50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするなど脱炭素社会の実現を目指すと述べた。これを受けて経済産業省30年代半ばに国内の新車販売をすべて電動車とする目標に設定に向けた議論を始めた、と日本経済新聞が10日に報じていた。 

 

  温室効果ガスの削減にはEVとHVやガソリン車をうまく組み合わせることを考える必要があるとし、50年までのカーボンニュートラル実現に向けての取り組みは進めるものの、それは「非常に難しい」との見方を示した。 

 

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-12-17/QLGZRGDWLU6P01 

 

 

ことCO2の排出に関しては、本当にBEVが優れているのか、と言った疑問もあるのである。 

 

火力発電で電気を作っているのであれば、その電気を充電するBEVは常時CO2を排出しながら走行している、と同じことなのである。 

 

フランスのように殆どが原子力発電で電気を賄っているのであれば、BEVはCO2フリーのモビリティと考えても問題はないかもしれませんが、日本も含めて火力発電で電気を賄っているのであれば、BEVであってもCO2を排出しながら走っているものと考えざるを得ません。 

 

(火力発電の)日本の場合では、BEVHEVとでは、そのCO2の排出量は殆ど差が無いという計算になるようです。 

 

 

 

環境省では、「CO2排出係数」なるものを公表している、と言う。 

 

 

これは、1kWhの電気を作るのに排出するCO2の量(kg)を表す指標である。 

 

それによると、大手電力会社1kWhの電気を作るのには、0.5kgのCO2を排出する、と言うことになっているそうです。 

 

大手電力会社の「CO2排出係数」 = 0.5kg-CO2/kWh 

 

これに対して、日産「リーフ」は、40kWhの電池容量で、実用航続距離200km程度だそうです。 

 

カタログ値の航続距離は400kmだが、アメリカでは240kmがカタログ燃費となっているそうです。そこで仮に 

 

日産リーフ 

  

電池容量 40kWh 

航続距離 200km     と仮定すると、40kWh÷200km = 0.2kWh/km 

 

と言う事で、日産リーフは、1kmの走行では0.2kWhの電力を使うことになります。 

 

これに先の「CO2排出係数」を使うと、 

0.5kg-CO2/kWh × 0.2kWh/km = 0.1kg-CO2/km となり 

 

日産「リーフ」は、1km走るのに0.1kgのCO2を排出すると言うことになる、訳である。 

 

これは、次の論考に書かれているものである。早速それらを参照願いたい。 

https://power-hikaku.info/column/ev-co2.ph 

 

序に、その論考によるとガソリン車・ディーゼル車は次のようになる。 

いずれも、2020年2月時点のデータである。 

 

ガソリン車・ディーゼル車と比較して 

 

 では、ガソリン車はどれだけのCO2を排出するのでしょうか。まずは「e燃費」というサイトから比較対象となるガソリン車・ディーゼル車の「実燃費」を拾ってきます。  

 

 

 車種      実燃費 

日産ノート 

MEDALIST X    16.39Km/L 

 

マツダ・デミオ 

XD(ディーゼル) 18.68Km/L 

 

トヨタ プリウス 

ZVW51       24.41Km/L 

 

 ガソリン車の代表として日産ノート(非「e-power」)、ディーゼル車の代表としてマツダデミオハイブリッド車の代表としてプリウスをチョイスしました。  

 

 環境省の資料によれば、ガソリン1LあたりのCO2排出量は2.322Kg軽油は1Lあたり2.619Kgとのことです。上の燃費に当てはめてCO2排出量を計算します。  

 

 車種        1KmあたりのCO2排出量 

ノート(ガソリン)     0.142Kg 

デミオディーゼル)    0.140Kg 

プリウス(HV)       0.095Kg 

リーフ(EV)        0.100Kg 

 

 僅差ですが最もCO2排出量が少ないのはハイブリッド車プリウス、次点で電気自動車という結論になりました。電気自動車はハイブリッド車と同等、ガソリンやディーゼルのコンパクトカーと比較すると3割程度、排出量が少ないと言えます。  

 

 なお、プリウスプリウスでも1代前のモデルの平均実燃費は21.06Km/Lなので、この場合は1Kmあたり0.110Kgの排出量となり、リーフよりも排出量が多くなります。 

 

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これは小生のブログ「世界自動車大戦争(91~)」(2020.3.13~)で投稿したものであるので、細部はこれ↓を参照していただきたい。 

 

https://blog.goo.ne.jp/atlas_centaur/d/20200313 

(続く)