カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(113)

■幻に終わったいすゞとの“合併”

 だが、日野自のエンジン不正問題で、いすゞと日野の経営統合計画は吹き飛んでしまった。 

 

 次世代商用車を開発する新会社「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)」には、トヨタ・日野自・いすゞのほか(2021/4月)ダイハツ工業、スズキが出資(2021/7月)している。不正発覚で日野自を除名する厳しい処分を豊田章男トヨタ社長(当時)が下した。いすゞにしても、“不正の宝庫、日野”との統合に腰が引けたことは間違いない。

 各社各様の思惑を見透かしたように、ダイムラートラックが動いた昨年夏以降、ダイムラー側からトヨタに日野と三菱ふそうとの統合の話が持ち込まれた。

 豊田章男氏は4月に佐藤恒治氏に社長の椅子を譲り、会長となったが、今回の“合併”の話は、豊田章男氏のマターとして進められたといわれている。

 ダイムラーは米国や欧州で商用車を手掛けているが、日本とアジアでの事業は05年に傘下に収めた三菱ふそうに任せている。商用車も乗用車と同様に、電動化や自動技術など多額な投資が必要となる「100年に1度の変革期」のさなかにある。三菱ふそうも単独で生きるのは難しいと考えていた。

 ダイムラーのマーティン・ダウム最高経営責任者(CEO)は記者会見で、こう述べた。 

 

「将来のモビリティー脱炭素化には水素が必要で、トヨタと協力できることは重要だ」。トヨタが持つ、燃料電池車(FCV)水素エンジン車といった水素関連の技術力が魅力的だとアピールしたわけだが、「リップサービスの範疇」(ダイムラー以外の欧州の自動車大手の首脳)なのだろうか。

 ダイムラートヨタに何を期待しているのか。突然の経営統合本当の狙いは、まだ、見えてこない。=つづく 

 

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/325845 

 

 

この論考の要旨を、若干補足を入れながら、次の様にまとめてみる。 

 

2000年代初頭より日野自動車排ガス燃費性能の不正を始める。 

2001年 トヨタ日野自動車の株式保有50.1%にして子会社化 

2005年 ダイムラー・クライスラー三菱ふそうを子会社化 

2007年 ダイムラー・クライスラーダイムラーAGに改称 

  AktienGesellshaft 株式会社。今はMercedes-Benz Group AG 

2019/3月 ダイムラーAGは持ち株会社構想を発表、傘下に 

     Mベンツ、Dトラック、Dモビリティの3社を置く計画 

2021/3月 トヨタいすず資本提携5.2%ずつ出資。 

    → トヨタいすゞ・日野の3社でCASE技術開発狙い 

      いすゞと日野早晩経営統合を予定 

2021/4月 CJPT設立トヨタいすゞ・日野+7月にスズキダイハツ 

2021/6月 トヨタの小木曽聡氏が社長に就任下義生は会長に。   

2021/12月 ダイムラートラックホールデングスが正式に設立される。 

2022/3月 日野自動車排ガス・燃費不正が発覚、 

     いすゞと日野の統合計画ご破算となる。 

2022/8頃 ダイムラー・トラックよりトヨタへ、(水素技術狙いで) 

     「三菱ふそう」と「日野」の統合したらどうか  

(続く)