「突然の経営統合の本当の狙いは、まだ、見えてこない。=つづく」と最後に書かれているが、本当の狙いは、「商用車・トラック部門での水素やCASE技術の共同開発」なのでしょう。水素技術などと1点に絞ったものではなくて、CASEに代表される商用車における「電動化、自動化、ICT化」などの次世代技術開発などの広範囲の共同開発、それ以外には考えられないが何か深謀遠慮があるのかな、「カーボンゼロ」などの波がトラック部門へも、ヒタヒタと押し寄せているということでしょう。
トヨタの目論見としては、当初はいすゞと日野を経営統合させて、トラックの「電動化、自動化、ICT化」などの環境対策を含む次世代技術開発を進める算段だったわけだが、日野自動車の排ガス・燃費不正の発覚でそれもご破算となってしまったわけで、豊田章男会長としては「憤懣やるかたない」気持ではないのかな。
それにしても、20年近くも排ガス・燃費不正を続けていた日野自動車の
コンプライアンス(compliance)法令順守のなさには驚くばかりである。
2021年にトヨタから派遣されて代表取締役社長となった「小木曽 聡 氏」は何をやっていたのであろうか。日野の不正が巧妙過ぎて見つけられなかったのであろうか。そうであっても、責任がないと言うことではないでしょう。
トヨタ得意の「現地現物」を着実に実行していれば、大・中型エンジンテストの実施状況なども目にしたことと思われるが、その時でも排ガス・燃費不正を見つけるチャンスがあったのではないのかな。法令順守は企業として最も重視されるべき事柄なので、ある意味「社長」の専権事項に近い事柄としても良いものであろう。
彼は東京工業大学工学部機械工学科を1983年(S58)3月に卒業して、同年4月にトヨタ自動車に入社している。1993年から2011年までの18年間「プリウス」などHEVの開発に従事する。2013年に常務役員、その後アドヴィックス、アイシン精機、トヨタ車体の役員を経験し、2018年にトヨタ自動車の専務役員、2019年に同執行役員・商用車CVカンパニーのプレジデント、そして2021年に日野自動車の代表取締役社長に就任している。
2017年から社長だった生え抜きの下義生氏は、代表権のある会長に就くが、彼にも大きな責任がある。
どのように再発防止対策を実施したのかは、関係する国の機関がトヨタと共にしっかりと抑えているはずだとは思うが、厳重に管理を続けていって貰いたいものである。
そんな日野自動車と経営統合を持ちかけた「三菱ふそう」と「ダイムラートラック」は、大型トラックなどのCO2削減などの次世代技術開発を共同で実施することが目的なのであろうから、手をこまねいている暇はない筈だ。
(続く)