『歴史人・邪馬台国論争』の大間違い(4)

すべての鉱物中にはウラン(U)トリウム(Th)が含まれており、時の経過とともにそれらは放射壊変により鉛の同位体へと変化してゆく。この鉛の同位体の比率は地域によって異なる値を示すもので、夫々の産地の固有値となるものである。これらの値を次の様に四軸のレーダーチャートに展開すると次の様なチャートが出来上がる。 

 

 


 

 

イメージ的に示すとこんな図となるが、これを見ると「三角縁神獣鏡」は明らかに前漢漢鏡と異なっていることがわかる。 

 

従って三角縁神獣鏡は中国で製作されたものではないことがわかる。この値を示す鉱物は神岡鉱山でとれたものだけがこのひし形の値を示すという。 

 

三角縁神獣鏡は、まさしく倭国製の銅鏡なのである。しかもこの鏡は四世紀の古墳からしか出土していないので、まさしく倭国製の鏡なのである。 

 

「歴史人、NO154」のP37には、「三角縁神獣鏡」は「国産と考えられる理由」として三つ上げているが、この材質への言及がないことには、がっかりせざるを得ないものがある。 

 

そして卑弥呼の鏡とは九州北部で出土する「内行花文鏡・方格規矩鏡」などの漢鏡である。 

 

このような大事なこともこの「歴史人」には説明されていない。 

 

 

次の間違いは、P39の「箸墓古墳と周辺の遺跡」の図の中にある。 

 

この図の中で、「箸墓古墳」のふたつ上に八塚古墳」と書かれた古墳があるが、この「八塚古墳」は「矢塚古墳」の間違いである。 

 

P41の上空から撮った写真の説明には、正しく「矢塚古墳」と書かれているし、P95の「纏向遺跡周辺図」でも正しく矢塚古墳と書かれている。 

 

この「歴史人」を出版したABCアークが作成した挿絵だけが間違っているようで、他の資料から拝借して作成したものは正しく「矢塚古墳」となっているようだ。 

 

この間違いは、一年前の「歴史人、NO.136」のP63の「箸墓古墳周辺の遺跡」図と同じもので、「八塚古墳」と間違って表記されている。結局何の注意も払わずに、間違っている資料を無造作に再使用している、と言うこと。 

 

これでは「ABCアーク」が廃れると言うことになってしまう。まともな出版社だとは到底言えるものではない。 

 

まあ今回の「歴史人、NO154」は、安直に造った「焼き直し版」で金をかけずに儲かれば良いと言った編集方針のもとに作られたもの、と見做されても致し方なかろう。これではそのうちに本当に潰れてしまうよ。 

 

この雑誌が990円もするとは驚愕ものである。ちなみに一年前の「歴史人、NO.136」は、930円である。段々と質が落ちているのに、値上がりしているということは、消費者を馬鹿にしていると判断されても致し方ないものであろう。 

 

 

一年前の「歴史人、NO.136」の「八塚古墳」と間違って表記されている件は、小生のブログ「纏向遺跡邪馬台国(古代日本の謎)NO.12」(2022.7.19)で詳しく説明しているので、参照願いたい。 

(続く)