ALPS処理水放出と習近平の凋落(23)

仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナルは28日、「中国はなぜ日本の核廃水(福島第一原発処理水)の海洋放出にこれほど敏感なのか」と題する記事を掲載した。 

 

仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)は28日、「中国はなぜ日本の核廃水(福島第一原発処理水)の海洋放出にこれほど敏感なのか」と題する記事を掲載した。 

 

記事は、日本の処理水放出について「中国国民が過激な反応を示していることに対して、国際世論は理解に苦しんでいる」と指摘し、仏戦略研究財団アジア研究主任のヴァレリー・ニケ氏へのインタビューを紹介。「国際原子力機関IAEA)が日本の排出計画を承認し、唯一取り除くことが難しいとされるトリチウムの濃度も国際基準の40分の1に下げるとしているにもかかわらず、中国政府や民間ではなぜこれほど強烈に反対しているのか」との問いに、ニケ氏は「真の理由は環境への影響の懸念ではない」と指摘した。

 

 

ニケ氏は「日中関係の緊張は長らく続いてきた。日本は中国の経済成長に期待して多額の投資を行ってきたが、習近平(シー・ジンピン)政権の発足後、中国政府は当該地域で攻撃的な姿勢を強めてきた。中国政府の怒りは処理水の放出に対してというよりも、日本が米国に近づいていることと関係があるだろう。米韓との首脳会談後に日本は双方との軍事協力強化を表明したが、中国政府はこれに腹を立てている。中国としては中立的で大人しい日本を望んでいる」と述べた。 

 

また、「中国だけでなく日本国内や韓国にも反対の声はあるが、これらも同じように環境への懸念とは無関係だ」とし、「日本の漁師たちが反対しているのは実際に海水が汚染されることよりも、日本の水産品輸出が打撃を受けることを心配している」と指摘。「韓国でも水産品が汚染されるとの声があるが、反対しているのは韓国と日本が近づくことを嫌う政治家。そのため、韓国にとってこれは国内の政治問題と言える」とした上で、「中国にしても韓国にしても沿海に原発を有しており、これらの原発から排出される水の放射線量は福島の処理水をはるかに上回っている」と論じた。

 

 

IAEAの放出承認について中国政府が「単なる意見であり国際法上の効力を持つわけではない。日本の放出には正当性や合法性はない」と主張していることについて、仏紙ル・モンドカーネギー財団の趙通(ジャオ・トン)氏の論評を引用して「中国と世界のその他の国の間の情報と認知の差が日増しに拡大していることの新たな例だ。韓国でも同じく注目度が高いが、中国では多様な観点と分析が欠けている」「(中国の)多くのメディア関係者や専門家には、自分が誤解を招く可能性がある情報を広めているという認識がない。愛国がすべてに勝るという国では、彼らは政治的に望ましくない内容を自然とフィルタリングしてしまっているからだ」と論じた。(翻訳・編集/北田) 

 

https://www.recordchina.co.jp/newsinfo?id=919572 

 

 

 

中国経済の悪化による悪影響を、中国政府は相当案じているようだ。特に9月は日中関係にとって難しい事柄のあった時期であるので、中国政府にとっては丁度良い機会であったようで、人心を中国経済の不振から日本のALPS処理水の放出への非難へと向けさせたわけだ。 

 

そのための情報工作も徹底しているようだ。処理水は安全なので心配ない旨の投稿は、3時間で削除されたという。

 

 

 

 

「心配の必要ない」投稿は3時間で消され…中国、処理水放出巡る情報工作の徹底ぶり 中国人の本音を聞くと 

2023年8月29日 20時09分 

 

 【北京=白山泉】東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り、中国では危険性をあおる当局の情報工作が市民に浸透している。交流サイト(SNS)での過激な言動には批判もあるが、日本産品や水産物に不安を抱く人は多い。日本の商品を敬遠する動きや旅行のキャンセルも出ている。 

 

◆「中国沿海に到達する前に日本料理を食べておきたい」 

 

 「放出された水が中国沿海に到達する前に日本料理を食べておきたい」。北京の日本料理店で昼食を食べていた男性会社員は「日本政府の公表データは信用できない」と苦笑いする。深圳の大手企業に勤める女性会社員も「日本の化粧品を使っているので、1年分は買っておく」と話す。 

 

地図アプリで探した日本の国会議事堂の番号に電話をかける男性=中国のSNS「抖音(ドウイン)」より     

 

 SNSでは「汚染水が240日後に中国近くに押し寄せる」という清華大学の研究者の調査が拡散する。一方、香港メディアによると、オランダに住む中国人の原子力専門家の「心配の必要はない」とする投稿は3時間で削除された。 

 

 放射能への不安から日本渡航を控える動きもある。8月10日に団体旅行が解禁されたばかりだが、中国の経済紙は「日本は(10月初旬の)国慶節連休で一番人気の旅行先だったが、一部でキャンセルが出始めた」と指摘する。業界関係者は「キャンセル料を払って熊本への旅行を中止した2人組もいた」と話した。 

 

◆地図アプリで番号を調べて国会議事堂に電話 

 

 SNSでは重慶市の男性が携帯電話の地図アプリで番号を調べて国会議事堂に電話し、中国語で「なぜ汚染水を海に放出するのか」と問いただす動画も。こうした嫌がらせに対して日本政府は抗議したが、中国メディアは「在日本中国大使館にも大量の迷惑電話があった」と大きく報じた。 

 

 SNSでは日本を蔑視する投稿などが目立つが、北京に住む40代の女性は「SNSでの日本批判は程度が低い。あまり意識していない」と冷静だ。別の40代の女性会社員は「価値観や民族感情の問題なので、科学的な説明をしても伝わらない」と話す。 

 

 9月は日中関係にとって難しい時期だ。3日には抗日戦争勝利記念日、同18日には柳条湖事件の記念日が控える。中国の企業関係者は中国経済の悪化に言及し、「SNSの話題を経済から日本にそらす可能性もある」と指摘する。

 

 

地図アプリで探した日本の国会議事堂の番号に電話をかける男性=中国のSNS「抖音(ドウイン)」より© 東京新聞 提供   

 

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/273468 

(続く)