LPS処理水放出と習近平の凋落(24)

中国の科学的原則に基づかない「日本産水産物の輸入停止」に対しては、日本政府もWTOへは「容認できない」旨の中国への「反論書」を提出している。 

 

福島第一原発から放出される年間のトリチウム量は、中国の秦山原発から放出されるトリチウム量の約10分の1だ」とも、具体的なデータで反論している。 

 

しかしながら中国は、「どこ吹く風」と言った態度をとり続けることでしょう。もっと有効な措置をとるべきではないのか、と案じている。

 

 

 

 

処理水のトリチウム量は「中国原発の1割」、中国の水産物輸入停止のWTO通知に政府反論書 

2023/09/05 12:43

処理水の海洋放出が始まった東京電力福島第一原子力発電所© 読売新聞 

 

 

 東京電力福島第一原子力発電所処理水海洋放出を巡り、中国政府が日本産水産物の輸入を全面停止した措置を世界貿易機関WTO)に通知したことを受け、日本政府は4日、「全く容認できない」として即時撤廃を求める反論書をWTOに提出した。 

 

 外務省が4日深夜に発表した。反論書では、中国の禁輸措置に対して、「遺憾の意」を表明。政府として、海洋放出のモニタリング(監視)を実施し、結果を公表するなど「安全性を確保するために万全を期すことに完全にコミット(関与)している」と説明した。 

 

 そのうえで、国際原子力機関IAEA)の継続的な関与のもとで、「モニタリングを重層的に実施している」とも強調した。

 

 反論書では、海水の放射性物質トリチウム三重水素)濃度は、放出基準(1リットル当たり1500ベクレル未満)より大幅に低く、「現在までに問題が発生していない」と明記した。 

 

 さらに、処理水に含まれるトリチウム量よりも、「中国の原子炉を含む世界中の原子力施設の方が、年間でより多くのトリチウムを排出している」と記載。福島第一原発から放出される年間のトリチウム量は、中国の秦山原発から放出されるトリチウム量の約10分の1だと例示して強調した。 

 

 WTOの衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)では、「全てのSPS措置は科学的原則に基づいてとることが求められている」とし、中国の措置は「科学的原則に基づくものとはみなせない」と強く批判した。

 政府は4日、日中などが参加する地域包括的経済連携(RCEP)協定に基づく討議の要請も行った。同協定では、討議を「実行可能な限り速やかに行う」と規定している。 

 

 中国政府は8月31日、WTOに措置を通知し、日本政府は反論の声明を公表していた。 

 

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230905-OYT1T50085/ 

 

 

 

中国は今米国を中心とした「対中包囲網」に対して、かなり苛立っているようだ。そのため、その一端を担っている日本に目をつけて、「日本潰し」を仕掛けているのである。いわば、中国は日本に対して「情報戦」を仕掛けているのである。 

 

科学的根拠がなくても「処理水放出」に文句を垂れておけば、日本が弱体するとでも思っているのか。中国が圧力をかければ、そのうちに、日本国内の反対勢力が力を盛り返して、国内での対立が激しくなってゆくのではないか、なんぞと考えているようだ。

 

 

俗にいう三戦の一つ「情報戦(認知戦)」を、日本に仕掛けてきているのである。そして、それらの情報戦により、日本国民の心理を揺さぶり(心理戦)、国内での対立を深めてゆく、と言った安直な考えなのであろう。それと言うのも、そのうちに「台湾侵攻」でも、やり始めないとも限らないのかもしれないのだ。そうなったら「法律戦」となり、尖閣諸島は中国のものと言う法律を制定するかもしれない、否もう制定しているのである

 

 

1992年に中国は領海法を制定し、尖閣諸島の領有権を明記し、人民解放軍が防衛する権利を有していると主張しているのである。詳しくは当ブログの2009年9月10日の尖閣諸島問題NO,125を参照のこと。 

 

 

しかしながら日本国内では、そんな対立は起きていない。反対に中国の科学的根拠に基づかないこの非難には、いい加減頭にきている。中国に対する「嫌悪感」だけが高まっている、と言った状態なのである。

 

 

 

処理水への「猛反発」は中国の首を絞めつつある 裏目に出た「孫子の兵法」 

米倉昭仁  2023/09/07/ 06:30 

香港の日本総領事館前で、日本政府に対し、処理水の海洋放出撤回を求めて抗議する親中派政党のメンバー=8月23日、香港   

(続く)